謹製MAGAZINE 名古屋編Vo3「奥田啓太と謹製革物」大須観音縁日編
彼が次に向かったのは大須の縁日。
大須という街は大須観音を中心とした歴史と若者文化が混ざり合う名古屋におけるカルチャーの中心地である。それは大須の歴史を紐解いていくことで明らかになってくる。
1610年、当時の将軍、徳川家康による名古屋城築城の際、尾張地方の神社仏閣など様々なものが名古屋に集約され、名古屋という街は城下町として繁栄していくこととなる。
岐阜羽島にあった大須観音も例に漏れず、現在の場所へ移転される。
時代は流れ、八代将軍徳川吉宗による質素倹約令によって贅沢が許されない世の中で
「暴れん坊将軍」で知られる尾張藩主、徳川宗春は、国の潮流に対抗する開放政策を取ることで
禁止されていた芸術や園芸、食文化など文化的な生活を守っていった。
名古屋はどんな時代でも演劇や芸術を愛する人々に守られてきた街なのである。
大須では毎月28日に縁日が開かれる。
大須観音境内では「骨董市」赤門では「みょうおんさん縁日」など大須近辺で多くの人が集まり賑わいを見せる。
その中でも身代わり不動縁日が行われている万松寺では織田信長の命を救ったと伝えられる身代わり不動餅が配られている。
人々に降りかかる厄災を身代わりとして受けてくれる「身代不動明王」へお参りしてみてはどうだろうか。
縁日ではりんご飴にイカ焼きなど懐かしい屋台が立ち並ぶ。
彼はお祭りや縁日に行くとベビーカステラを食べてしまうと言う。
優しい甘みとふわふわ食感、食べた後は十中八九、喉が乾くのでコーヒーと一緒に食べることをおすすめする。
どの屋台で食べようかと考えながら縁日を歩く。
ひとときの非日常を味わうには持ってこいだ。
一通り縁日を歩き骨董市に足を伸ばす。
歴史を感じる古いものが好きな彼は、骨董市には目がない。
居酒屋や町中華でよく使うノベルティビールグラスを集めるのが趣味とのこと。
骨董市では様々な露店があり、古いアメリカ雑貨を扱う店や、昭和レトロを感じる日本の古道具を扱う店、古い雑誌を扱う店など多岐にわたる。
大須観音での締めはお参り。
階段を登り、賽銭箱に五円玉を投げ込む。
健康や進路、たくさんのお願いをしすぎて観音様に怒られそうだなと感じながら
煩悩だらけの青年は大須観音を後にした。
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